CASKE2000

AUGURS & MENTAWAIS

メンタワイと占い

文:ジョンフィリップ・スレ1997


メンタワイでは、命ある全ての物が何らかの重要な役割を与えられる。儀式の中で動物達を殺すのも、その肉に感謝し、人々を守ると言われている魂(スピリット)を自由に解き放つために行われる。
ある儀式で鶏が用いられる例だが、儀式の最後に、鶏が葉を敷き詰めた箱に入って登場する。シャーマン(現地では sikeireisと呼ばれる伝統祈とう師・まじない師)が鶏に語りかけるように祈りを捧げ、全員がその鶏に触れることができた後、年齢の一番上の者が血を出さずに鶏の首の骨を折り即死させる。それから鶏の肉は調理され人々の口に入るが、鶏の胃は数人のシャーマンによってくまなく調べられることになる。彼らはその胃から吉兆か凶兆かを占い、幸福または恐怖をもたらすかを判断する。
もし、一羽目の鶏が凶と出れば、その確認のため二羽目が殺される。

僕は数ヶ月間メンタワイの人々と一緒に生活したが、未だに鶏やブタの胃を見てどうやって占えるのか全くわからない。シャーマン(現地では SIKEIREISと呼ばれる伝統祈とう師・まじない師)は数分で胃の筋膜を走る血管を読み取り、その血管の配列具合で吉か凶を決定する。もし吉と出れば家族全員が健康で、鹿や猿、野生の豚などが次の狩りで獲れるという。どの日に狩りに行けば良いのかさえも、シャーマンには読める。

一方、凶と出た場合は何か悪いことが起こる前兆になる。動物が病人を治す目的で殺され、凶と出ればその病人は間もなく死に、吉ならば治るとされている。病人がいなくても、凶が出ればそのクラン(氏族)にとって不吉であり、誰かに事故や病気等の災難がふりかかる前ぶれとなってしまう。「ただし、凶と出るのは本当にまれなんだ。」と、メンタワイの友人が教えてくれ僕は少しほっとした。しかし年老いたメディシンマン(呪医・まじない師)の予言は絶対に外れないと彼は言った。ジャングルとは正反対な西洋社会で生きてきた僕の中には、未だ懐疑心が残る。それが邪魔する限り、メンタワイの秘密を理解することは難しい。しかし、メンタワイだけが特別ではなく、このような伝統的な占いは世界中で行われているはずだ。

真実か迷信か、シャーマン達の自然や薬草に関する知識の深さに、僕はどれだけ驚かされただろう。スピリットの世界と交わり語り合う心とエネルギーを持つ彼らに、畏敬の念を抱くと同時に、感動さえ覚える。現代に生きる人々の想像を遥かに超えたスピリットの理解と、熱帯で生活するために必要な知恵が、メンタワイの中に生きている。

ジョンフィリップ・スレ

訳:西山 晴美    更新日 : 1999年 11月 1日

英語オリジナル・テキスト: AUGURS & MENTAWAIS 

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