CASKE2000

 

cacao

Cacao, the Drink of the Gods

カスク2000 カカオ、神様の飲み物

写真と文 ジョンフィリップ・スレ

cacao fruit


歴史

その昔、マヤの人々の間で”神様の飲み物”として崇められていたのが、カカオだった。カカオの種がお金の代わりとして使われていた当時、カカオから作った飲み物を口に出来た人達はほんの一握り。エリートや金持ちだけが”お金”を飲むことができたのだ。カカオ(種)3粒で七面鳥、30粒あれば奴隷を1人買うことが出来たと記録に残っている。
なぜそれ程までにカカオに値打ちがあったのか。カカオは(現在でも)自然の精力剤、飲めばSEXに強くなると信じられていた。現代の人々がバイアグラに殺到するように、マヤの人々もカカオを手に入れようと必死だったのだろう。その結果が”カカオ(種)=貨幣同様の価値”だった。

一方、植民地開拓者達がカカオを発見しヨーロッパへ持ち帰ると、カカオ・ドリンクは上流階級の人々の間で一つの流行となっていった。チョコレートやココアの主原料として世界中でカカオが売られている現在でも、マヤの人々は先祖から伝わる方法でカカオ・ドリンクを作り、飲んでいる。僕は旅の途中、ベリーズにある小さなマヤ族の村、ブルークリークでカカオ・ドリンクが出来るまでを見せてもらった。

カカオの収穫と種の乾燥

カカオの実の中にある種が、ココアなどの原料になるカカオだ。楕円形のカカオの実が幹や枝に直接なり、熟してないうちは緑だが、徐々に黄色くなっていく。しかし、実が緑でも黄色でも収穫はできる。熟した柔らかい果肉に対して、緑の実のは固いがすでに甘みを帯び、甘酸っぱい飴のようだと言う人もいる。とにかく、大人も子供もその甘い(甘酸っぱい)果肉をしゃぶっている。もちろん、僕も大好きだ。

充分にカカオの実を味わい、川で余分な実を洗い流した後、カカオの種が干される。木や鉄の板の上に種を置き、日の当たる場所で乾燥させる。実の熟し方にもよるが、種が濃い茶色になるまで大体7日間ほど置かれる。味見に干された種を噛むと、ビターココアのような味がする。コーヒー豆の味にもよく似ていると思う。
種が乾けば、それをひいて粉にするか、水をちょっと加えてペースト状にする。

粉からカカオ・ドリンクにするには

まずは平らな石をすり鉢代わりに、すりこぎで種をつぶして粉にする。マヤの人々は時々、味付けのために少し黒胡椒を粉に入れたりする。十分なカカオの粉が出来上がると、水を少し加え、ペースト状していく。このペーストにお湯か水を加え、そして好みで砂糖を入れたりしてカカオ・ドリンクが出来上がる。
アステカ最後の皇帝モンテスマは、蜂蜜とチリ(唐辛子)の入った熱いカカオ・ドリンクを毎朝飲んでいたというが、一体どんな味だったのだろう。僕は、ホットココアに似た味の砂糖を入れたカカオドリンクがとても美味いと思う。しかし砂糖無しの苦いカカオ・ドリンクはどうもいただけない・・・。僕達が店で買うココアやチョコレートは、工場でカカオの種が粉になり、ミルクや他の材料と混ぜ合わされて出来上がる。

純粋なカカオドリンク、それも”神様の飲み物”を味わえたのは光栄に尽きる。

英語オリジナル・テキスト: Cacao, the Drink of the Gods


訳:西山 晴美     更新日:2000年2月1日